クリニック通信

第29回 中咽頭癌

桜2014.JPG

 中咽頭は口を大きく開けた時に奥に見える場所で、軟口蓋(うわあごの軟らかい部分)、扁桃、後壁(口の奥の突きあたりの部分)、舌根(舌の付け根)の4つの部位に分けられます。中咽頭は食物や空気の通り道で、食物をのみ込む嚥下や言葉を話す構音をうまく行うための重要な働きをしています。そこに発生する癌を中咽頭癌といいます。

 中咽頭癌には、発生する組織や細胞の由来によっていくつかの種類(組織型)に分けられます。粘膜上皮から発生する扁平上皮癌の他、悪性リンパ腫、粘膜下に存在する付属腺から発生する腺癌などがあります。最も多い扁平上皮癌は、本邦では年間1,0002,000人程度に発症する比較的まれな癌です。強い酒やかみタバコの習慣のある地域で発生頻度が高くなる傾向にあり、過度の飲酒や喫煙を長期間続けることにより中咽頭癌が発生する危険性が高まると考えられています。また、中咽頭癌の発生において、ヒトパピローマウイルス(HPV)の関与が指摘されており、ウイルス陽性の中咽頭癌は陰性のものと比べ予後が良好であると言われています。

 中咽頭癌は初期の段階では自覚症状はほとんどありません。癌が進行すると喉の異物感、咽頭痛、嚥下痛、喉が腫れた感じが起こります。さらに癌が進むと、口が開けづらい、飲み込みにくい、話しにくいといった機能的な症状も現れます。首のリンパ節に転移が起こると頸部腫瘤として自覚されます。

 中咽頭癌の検査はまず、視診触診を行い、ファイバーを用い病変の広がりを確認します。周囲組織へどの程度広がっているのか、またリンパ節や他臓器への転移などがあるかどうかを調べるためにCT検査、MRI検査、超音波検査などの画像検査も行います。病変が癌であるか、どのような組織型かを調べるため、組織を少し採取して調べる生検を行い、最終的に病期を含めた診断がなされます。

 治療は癌の組織型、病期、患者さんの全身状態、また、治療後の嚥下障害や構音障害などの後遺症も考慮され決定されます。手術、放射線治療、化学療法より選択されますが、これらを組み合わせた治療が主流となっています。ヒトパピローマウイルス陽性の中咽頭癌は、陰性のものに比べ放射線感受性が高く、放射線を主体とした治療で良い成績が得られると言われています。

 以上、中咽頭癌についてお話しました。他の癌と同様、早期発見が重要です。中咽頭癌は肉眼で見える部位もありますので、口内や咽頭の観察を日々行うことをお勧めします。今回の写真は室蘭ではひと足早い桜の花です。室蘭もあと少しですね。

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