クリニック通信

第19回 花粉症は日常生活に支障をきたします。

アジサイ.JPG    そろそろ北海道でも花粉症の季節が始まります。室蘭ではスギやハンノキの花粉が飛んでいます。シラカバ花粉はまだ飛んでいませんが、今年のシラカバ花粉飛散予測では例年より少ない傾向にありそうです。少ないと言っても患者さんにとっては憂鬱な季節です。今回はアレルギー性鼻炎が日常生活、特に生活の質、quality of life (QOL)に及ぼす影響について、私が大学に勤務していた時に行った臨床研究の結果を基にお話します。

 研究を行ったのはシラカバ花粉症の季節で、花粉飛散は例年より多かった年でした。1378名のアレルギー性鼻炎患者さん(花粉症の方以外の通年性アレルギー性鼻炎患者さんも含まれます)に日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票というものを用いてアンケート調査を行い、日常生活にどのような支障が出ているかを検討しました。QOL調査票では以下の17項目について調べています。1.勉強・仕事・家事の支障、2.精神集中不良、3.思考力低下、4.新聞や読書の支障、5.記憶力低下、6.スポーツ、ピクニックなど野外活動の支障、7.外出の支障、8.人とつきあいの支障、9.他人と会話・電話の支障、10.まわりの人が気になる、11.睡眠障害、12.倦怠感、13.疲労、14.気分が晴れない、15.いらいら感、16.ゆううつ、17.生活に不満足

 結果からはアレルギー性鼻炎患者さんは多かれ少なかれ自分自身でも日常生活に支障をきたしていると考えており、以上17項目のうち50%以上の患者さんが当てはまると答えた項目は「勉強・仕事・家事の支障」「精神集中不良」「睡眠障害」「倦怠感」「疲労」「気分が晴れない」「いらいら感」の7項目でした。仕事や勉強、家事に支障が出るといった基本的な事柄から、倦怠感、疲労感といった身体的な問題や気分が晴れない、いらいらするなどの精神的な問題も起こしています。また、睡眠障害もみられています。アレルギー性鼻炎では花粉症と通年性のアレルギー性鼻炎がありますが、両者で比較してみますと花粉症の患者さんの方が支障がでていることが多いようです。花粉症は花粉の飛散している期間のみ症状が出ますが、症状は通年性より強く、症状のない期間があるためより症状を強く感じるのでしょう。症状においてくしゃみ、鼻汁、鼻閉のどの症状が支障をきたしやすいかをみたところ、鼻閉の程度が最も影響していました。特に鼻閉の強い方は「倦怠感」、「疲労」など身体的な問題や「気分が晴れない」、「いらいらする」など精神的な問題が生じ易いことが分かりました。また、鼻汁とくしゃみの強い方は「スポーツ、ピクニックなど野外活動の支障」や「外出の支障」などの問題が生じ易いことが分かりました。ご自分でもこの17項目が当てあてはまるか試してください。アレルギー性鼻炎の方はかなり当てはまる項目があるのではないでしょうか。

 アレルギー性鼻炎、特に花粉症は日常生活の質を著しく低下させます。この時期は鼻の調子が悪いのはしょうがないと考え、我慢していませんか。花粉症により集中力は低下し仕事や勉強に支障をきたします。これによって生じる経済的損失は年間1.2兆円とも言われています。個人的な問題だけではなく、社会的な問題にも発展しているのです。シラカバ花粉の飛散開始は5月の連休明け頃です。花粉飛散前より内服を開始しましょう。今回の写真は昨年撮ったアジサイです。早く花の咲く季節にならないかな。